キャッシュレス消費者還元事業て何?経済産業省主導の政策、対象事業者のメリットは?

政府が東京オリンピックを見据え、キャッシュレス化を推進するため「キャッシュレス・消費者還元事業」を打ち出しました。
また「キャッシュレス・消費者還元事業」に合わせ、各決済事業者はさまざまなサービスを提供しています。
今回は「キャッシュレス・消費者還元事業」とはなんなのか、各決済事業者の中で4社(Square、Coiney、AirPay、楽天Pay)を挙げそれぞれがどのようなサービスを提供しているのか、そして実店舗はどの決済事業者を選択するべきなのか、説明していきたいと思います。

 目次

  1. 「キャッシュレス・消費者還元事業」とは?
  2. 「キャッシュレス・消費者還元事業」を適用するメリット
  3. 主要スマホ決済事業者の「キャッシュレス・消費者還元事業」の内容
  4. 主要スマホ決済事業者4社の紹介
  5. 店舗(業種)別のおすすめスマホ決済事業者
  6. まとめ

「キャッシュレス・消費者還元事業」とは?

■背景

政府は2019年10月1日に消費税を8%から軽減税率を採用し10%に引き上げました。
これによる消費の落ち込みの緩和を狙うとともに、オリンピックを見据え、日本で進んでいないキャッシュレス化を推進するために「キャッシュレス・消費者還元事業」が打ち出されました。

■内容

「キャッシュレス・消費者還元事業」とは、2019年10月1日の消費税率引き上げに伴い、キャッシュレス決済利用によるポイント還元・割引を支援する事業のこと。
10月1日の消費税率引き上げ後9ヶ月間、消費者がキャッシュレス決済を利用して中小・小規模の小売店・サービス業者・飲食店等で支払いを行った場合、個別店舗では5%、フランチャイズチェーン加盟店等では2%消費者に還元します。

また中小・小規模事業者がキャッシュレス決済を導入する場合、必要な端末導入費用の1/3を決済事業者が負担することを前提に残りの2/3を国が補助する上、期間中は決済事業者に支払う加盟店手数料(3.25%以下)の1/3が補助されるなど、消費者だけでなく事業者側にもメリットはあります。

対象となる中小・小規模事業者には条件があり、それは以下の表のようになっています。

業種分類 資本金 従業員数
製造業・その他 3億円以下 300人以下
卸売業 1億円以下 100人以下
小売業 5千万円以下 50人以下
旅館業 5千万円以下 200人以下
ソフトウェア業、情報処理サービス業 3億円以下 300人以下
サービス業・その他 5千万円以下 100人以下

上記に該当する中小・小規模事業者であっても、下記に該当する場合は登録対象外となります。
・登録申し込み時点で確定している(申告済の)直近過去3年分の各年、
または各事業年度の所得の年平均額が15億円をこえる事業者

・資本金または出資金が5億円以上の法人に直接または間接に100%の株式を保有される事業者

 

政府はこの事業により、事業者と消費者双方のキャッシュレス化を推進していきます。主な決済手段としては、クレジットカード電子マネーQRコード決済を想定しています。

「キャッシュレス・消費者還元事業」を適用するメリット

では、この政策によって、事業者側にはどんなメリットがあるのでしょうか。

事業者への主なメリットは以下の通りです。

・キャッシュレス決済用の端末導入の負担なし!
・期間中の決済事業者に支払う加盟店手数料(3.25%以下)の1/3を国が補助
 →決済手数料が3.25%以下になる!
・消費者還元により集客力UP!
・レジ締め、現金の取り扱いコストを省いて業務効率化!

上項目でもお伝えしましたが、端末導入費用の1/3を決済事業者が負担することを前提に残りの2/3を国が補助するため決済端末代の負担は実質無料になります。さらに期間中の決済事業者に支払う加盟店手数料(3.25%以下)の1/3を国が補助してくれるため決済手数料も2.16%になります。この決済手数料の変化について、今回紹介する決済事業者4社でまとめて表にすると以下のようになります。

決済手数料
()内は「キャッシュレス・消費者還元事業」中の手数料(~2020/06/30まで)
Square Coiney AirPay 楽天Pay
VISA、MasterCard、アメックス 3.25%※1(2.16%) 3.24%(2.16%) 3.24%(2.16%) 3.24%(2.16%)
JCB、Diners、Discover 3.25%※2(2.16%) 3.74%(2.16%) 3.74%(2.16%) 3.74%(2.16%)
電子マネー 3.24%(2.16%) 3.24%※3(2.16%) 3.24%※3(2.16%)
QRコード 3.24%(2.16%) 3.24%(2.16%) 3.24%(2.16%)

※1 Squareはカード情報手入力、ブラウザ決済の場合は手数料が3.75%となります。くわしくはこちら
※2 JCBのみ「キャッシュレス・消費者還元事業」終了後、3.95%となります。
※3 iD決済、QuicPayは3.74%となります。

 

さらにキャッシュレス決済によるポイント還元により消費者はおのずとキャッシュレス決済を利用する機会が増えていきます。一般的には現金よりもキャッシュレス決済の方が単価が高いと言われているので売上アップも予想できますし、消費者がキャッシュレス決済可能なお店を選ぶことで新規顧客の獲得にも繋がるでしょう。

 

この「キャッシュレス・消費者還元事業」に合わせて、各決済事業者は各事業者向けにさまざまなサービスを展開しています。
各事業者はどの各決済事業者を選択するべきなのか。代表的な決済事業者の紹介をしていきたいと思います。

主要スマホ決済事業者4社の紹介

事業者を紹介する前にキャッシュレス決済導入時に、考えなければならない点が大きく3点あります。これら3点に気を配りながら紹介していきたいと思うのでここで確認しておきます。その3点は以下のような内容です。

・費用(初期導入費、振込手数料や決済手数料などのランニングコスト)
・決済方法の選択
・売り上げの入金サイクル

費用はもちろん考えなければならない点であることは明らかです。また、中国人観光客が多い場合、中国系のQRコード決済方法が入っていると集客につながるなど、決済方法は店舗の客層によって選択肢が変わるでしょう。当たり前のことですが、キャッシュレス決済では現金を使わないため、その日の売上がその日に現金として手元に入ることはありません。決済事業者が売上を入金するまでに在庫を切らさないでいることができるかなどを考慮する必要が出てきます。その際に売り上げの入金サイクルは重要になってきます。

では、この3点を踏まえたうえでそれぞれ決済事業者がどのようなサービスを行っているか紹介していきたいと思います。

Square    

1つ目はSquareという決済事業者です。
Squareの特徴は入金サイクルが速いことです。

メリット
・入金サイクルが比較的速い。みずほ銀行か三井住友銀行を振り込み銀行に登録すれば、売り上げのの入金サイクルは翌日となる。どちらも大手の銀行なのでとてもありがたい。
・決済用のカードリーダー、レジがおしゃれ。サロンなど外見のおしゃれさにこだわる店舗では重宝するかもしれない。
・振り込み手数料が条件なく無料
・自社のレジアプリを持ち、多数の連携サービスを持つ。例えば、会計や在庫管理などを連携させて、事務作業の簡素化で時間を節約できたりする。
・クレジットカードのタッチ決済に対応。(タッチ決済とは、クレジットカードを電子マネーのようにタッチして使う決済方法)タッチ決済は海外で普及し始めているので海外からの観光客にとってプラスとなる。

デメリット
・導入予定ではあるが、今はまだ電子マネー決済に対応していない。(決済端末の規格は対応しており、対応予定としているので一時的な問題)
・QRコード決済は非対応である。
・決済手数料が3.25%もしくは3.75%。後に紹介する決済事業者はどこも3.24%、3.75%なので0.01%だけその他の決済事業者よりも高くなっている。。

Squareの導入はこちら

 

Coiney  

2つ目はCoineyという決済事業者です。
特徴はWeChatPay、クレジットカードが6大ブランドに加え、セゾンカードにも対応していること。

メリット
・WeChatPayに対応しているので、中国人観光客の集客につながる
・「キャッシュレス・消費者還元事業」の条件を満たさなくても、カードリーダー代19800円が無料に。(ただし、決済手数料は2.14%にはならない)
・クレジットカードブランドにおいてセゾンカードにも対応

デメリット
Android端末は電子マネー決済に対応していない。
・入金が10万未満の場合200円の振り込み手数料がかかるため、売り上げの少ない店舗では導入しづらい。
・入金サイクルが月6回と長め、また入金の際に手動で入金依頼の操作が必要。(自動入金の場合入金サイクルが月1回)

Coineyの導入はこちら

 

AirPay    

3つ目はAirPayです。
特徴は多彩な決済手段に一度で対応できることです。

メリット
・決済方法が多様。クレカ、電子マネーに加え、LINEペイ、PayPay、WeChatPayなど5種のQRコード決済に対応。
・振込手数料が条件なく無料
・「キャッシュレス・消費者還元事業」により、カードリーダーだけでなく、iPadまで無料でGetできる。
・「キャッシュレス・消費者還元事業」の条件を満たさなくても、カードリーダー代18334円は無料となる。

デメリット
IOSのみにしか対応していない。
・入金サイクルが月6回と長め。

 

楽天Pay    

最後に紹介するのは楽天Payです。
特徴は楽天ユーザーならメリット多いということです。

メリット
・入金サイクルが楽天銀行使用で翌日の自動入金、その他銀行でも入金依頼申請で翌日の入金。
・楽天PayとauPayの二つのQRコード決済に対応。
・電子マネー決済ではWAON、nanacoなど流通系電子マネーにも対応。

デメリット
・振込手数料が楽天銀行でない場合、330円
デメリットが少なそうだが、楽天銀行でない場合、1日330円ずつ支払うことになり、ランニングコストが跳ね上がるため大きなデメリットとなる。

 

■4社比較のまとめ

4社の違いを表にまとめると以下のようになります。

Square Coiney AirPay 楽天Pay
初期費用 カードリーダー代※1
(7980円)
カードリーダー代※1
(19800円)
カードリーダー代※1
(18334円)
カードリーダー代※1
(19800円)
決済手数料 3.25%、3.75%※2 3.24%、3.74%※2 3.24%、3.74%※2 3.24%、3.74%※2
入金サイクル 最短翌日 最短11日 最短5日 最短翌日
振込手数料 0円 10万未満:200円
それ以上:0円
0円 楽天銀行:0円
それ以外:330円
クレジットカード 6ブランド 6ブランド+セゾンカード 6ブランド 6ブランド
電子マネー 0(導入予定) 9種(Android 未対応 12種 15種
QRコード決済 1種 5種 2種
対応OS iOS,Andoid iOS,Android iOS iOS,Android

※1 「キャッシュレス・消費者還元事業」のキャンペーン適用で無料
※2 「キャッシュレス・消費者還元事業」のキャンペーン中は一律2.16%

 

どの決済事業者も一長一短であることがわかります。
実際にどの決済事業者を選ぶかは店舗の特徴に合わせて選ぶことになります。
では、具体的な例をとってどの決済事業者を選ぶべきか話していきたいと思います。

 

店舗(業種)別のおすすめスマホ決済事業者

■○○PayなどのQRコード決済を導入したい店舗

紹介した4社のなかでQRコード決済の種類が最多なのはAirPayなので、まずAirPayを検討するとよさそうです。
しかし、iOSのみ対応しているのでOSがiOS出ない場合は、PayPayなどのQRコード決済を行っている会社にそのまま直接申し込むのも一つの手です。
PayPayは初期導入費用、決済手数料などが無料、LINEPayもものによっては費用が一定期間かからないので、導入に大きなデメリットはありません。

 

■おしゃれも意識しながら、キャッシュレス決済を導入したい店舗

サロンなど見た目もこだわりたい店舗は、カードリーダーやレジのおしゃれさにも気を配りたいところだと思います。
多くのカードリーダーは黒色をした決済端末で差がありませんがSquareは決済端末を白を基調としたものとなっております。
どちらが合うかは店舗によりますが、決済端末に注目して決めるのも一つの手でしょう。

 

■とりあえず「キャッシュレス・消費者還元事業」に乗っかってキャッシュレス決済を導入したい店舗

とりあえず導入したい場合、失敗したときのリスクが小さいものを選ぶと安心でしょう。
その場合、ランニングコストがかからず、かつ売上がすぐに手元に来る決済事業者がリスクが小さいです。
この4社の場合、楽天銀行を持っている場合は楽天Pay、持っていない場合はSquareが最もリスクが少なくキャッシュレス決済を導入できるでしょう。

 

■オリンピックを意識して、外国人観光客も取り入れたい店舗

紹介した事業者のなかで、中国向けQRコード決済を採用しているのはAirPay、Coineyの2社です。中国人観光客が多い場合は、この2社のメリット、デメリットを考えながら決めるとよいでしょう。
Android端末しかない場合はCoineyになりますが、売り上げが低い場合、Coineyでは振込手数料がかかってします。この振込手数料とiOS導入を比較してどちらが低コストか、などを考える必要があるでしょう。
また、Squareのメリットの部分で少し触れましたが、タッチ決済が海外(欧米やオーストラリア)で普及してきています。このタッチ決済に対応しているのはSquareも検討してみてもよいでしょう。

 

まとめ

政府が発表した「キャッシュレス・消費者還元事業」。この事業を正しく理解し、キャッシュレス決済の導入時に考えるべきことを紹介しました。
今回、各決済事業者の中で4社(Square、Coiney、AirPay、楽天Pay)を挙げましたが、その他の事業者も比較しながら、また各々の実店舗の特徴、今後の展望を踏まえながら「キャッシュレス・消費者還元事業」をうまく利用して、キャッシュレス決済を導入してみてはどうでしょうか。